117クーペ 2018 11 25

 少年だった私の自転車を、
クラクションを鳴らしながら、
117クーペが追い抜いていく。
 後姿が官能的とも言われたデザインで、
曲線が小さくなるまで、目で追いかけてしまう。
 「117クーペ」とは、
いすゞ自動車が開発した、
昭和時代を代表する傑作車です。
 当時としては珍しく、
エンジンは、DOHC方式でした。
 今でこそ、DOHCは普通になってしまいましたが、
本来、DOHCエンジンは、高回転・高出力なので、
スポーツカーに採用されるエンジンでした。
 「117クーペ」は、
スポーツカーの要素を持った高級車だったのかもしれません。
 デザインは、曲線を多用した、
まるでイタリア車のようなデザインした。
 それもそのはず、デザインについては、
イタリアのジョルジェット・ジウジアーロ氏が手掛けたものでした。
 この車が、ハンドメイド・カーと言われたのは、
当時のプレス技術では、個性的な曲線を作り出すことができず、
職人が手作業で製作したと言われています。
つまり、日本車なのに、イタリア車と言えたでしょう。
 最近の車のデザインは、迷走しています。
どれもこれも似たようなデザインであり、
たまに個性的なものがあっても「ガンダム」を連想させるものです。
そのうえ、車が家電化して、運転感覚は、どれも同じようなものです。
 そうなると、消費者としては、
どれも似たようなものならば、安いほうがよいと考えてしまいます。
あるいは、買い替えはしないで、長期間乗ると思うでしょう。
 今の日本には、117クーペのような個性的な車はありません。
そうであるならば、リース車やレンタカーでよいと考えてしまうでしょう。
故障しないことが日本車の特徴ですが、それだけでは車の魅力が乏しいのです。

定期購読 2018 5 20

書名 自動車会社が消える日
著者 井上 久男  文春新書

 自動車の未来については、
多くの意見が出て、百花繚乱のような状況です。
 たとえば、自動車がスマートフォンのようになってしまう。
確かに、最近の自動車は、ソフトウェアの塊のようになってきて、
コンピューターが、ドライバーの運転を支援するようになっています。
 著者によると、ソフトウェアの量は、
プログラミング言語で記述された文字列の行数で示されるが、
ボーイングの「787」が、約800万行なのに対して、
自動車は、約1000万行もあると言われているという。
 私が、書店で、自動車雑誌を読んだ時に、
「フェラーリ488」の記事がありました。
 「488」は、最高出力が670psもあり、
最高速度が330km/h以上というモンスター自動車ですが、
昔のフェラーリに比べて、最新鋭のフェラーリは、
コンピューターによる電子制御によって、
ベテランドライバーでなくても、
運転できるようになったと書いてありました。
 さて、自動車の未来は、どうなるのか。
私は、自動車を「定期購読」するようになると考えています。
 レンタルDVDで、毎月、定額を払うと、
「借り放題」になるように、
自動車も、毎月、定額を払うと、「借り放題」になる。
 つまり、毎日の通勤は、大衆車で、
週末は、スポーツカーを乗るというライフスタイルです。
つまり、自動車は、所有しないというライフスタイルです。
 これは、自動車の利用形態の話になってしまいました。
自動車の製造形態は、どうなるか。
 やはり、噂されているように、
電気自動車が主流になると、
異業種からの参入が活発になると思います。
 自動車製造という市場に参入するには、
ガソリン・エンジンが大きな参入障壁になります。
 しかし、電気自動車になると、
参入障壁は低くなるでしょう。
 多くの人は、固定観念から、
電気自動車になっても、
モーターは、車体前部の中央に設置すると考えていますが、
モーターの構造を考えると、
駆動用のモーターは、タイヤの中に組み込むことが可能でしょう。
そうすると、タイヤを買ってくると、モーターもついてくる。
 タイヤ・ショップでは、
「30馬力のタイヤ」や「50馬力のタイヤ」が売られるようになるかもしれません。
 さて、パソコンは、1980年代においては、
NEC(日本電気)の独占状態でした。
 ソフトウェアの問題やOS(基本ソフト)の問題、
さらに、部品の互換性の問題もあり、
パソコン市場に参入するには、大きな参入障壁がありました。
 今は、「Windows」が動けば、
どんなパソコンでもよいということになり、
素人が、秋葉原で部品を集めてきて、
パソコンを「自作」できるようになりました。
さすがに、自動車は部品が大きいので、自作するわけにはいかないでしょう。





























































スマートフォンのトップページへ